日本での平和構築と開発の学びをリーダーシップの実践に:マリ出身のJacques Dembeleさん

  • マリ出身のJacques Dembeleさんは、国連開発計画(UNDP)ギニアビサウ事務所のモニタリング・評価担当官として働いています。

     

  • 20251月から2月にかけてオンラインと対面(広島と東京)で開催された「平和構築·開発におけるグローバル人材育成事業」プライマリー·コースに参加しました。

     

  • 彼にとって日本は、平和を発信してきた憧れの地であり、今回の研修への参加を決めました。

     

  • 広島での研修は、平和構築と開発に貢献する決意を新たにするきっかけとなりました。

     

  • 本事業は、広島大学が外務省の委託を受け、国連ユニタールと連携して実施しています。

20256月・広島-Jacques Dembeleさんは国連開発計画(UNDP)ギニアビサウ事務所のモニタリング・評価担当官として、民主主義、健康、経済発展、気候変動に関する取り組みに携わっています。国際機関でのキャリアアップに必要なスキルを磨くため、「平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業」プライマリー・コースに参加しました。

「平和構築・開発におけるグローバル」人材育成事業プライマリー・コース

「平和構築·開発におけるグローバル」人材育成事業プライマリー·コースは、国際機関でのキャリアを目指す若手専門家の実践的なスキル、知識、能力を強化することを目的としています。国内外から優秀な研修員23名を迎え、20251月から2月にかけて、オンライン研修に続き広島と東京で対面研修が行われました。本事業は、広島大学が外務省の委託を受け、国連ユニタールおよび国連ボランティア計画と連携して実施しています。

平和構築と開発に対する理解の深化

研修を通じて、Jacquesさんは平和構築と開発を取り巻く複雑さを改めて認識しました。また、コースでも重視されていたコミュニケーション能力と交渉スキルが、平和構築においていかに重要な役割を果たすかを実感しました。リーダーシップの本質や、平和構築の取り組みを推進するために必要なことについても学びました。

平和構築と開発について学びたいとの思いで参加しました。いざ取り組もうとすると、平和構築や開発を追求し、実践していくためには、そのためのプログラムをどのように設計·実施し、どのようにモニタリングするかなど、考慮すべき要素が非常に多くあることに気づきました。

Jacques Dembele,     

UNDPギニアビサウ事務所、
モニタリング·評価担当官(マリ)

レジリエンスを目の当たりにして―広島での経験から

広島を訪れることは、Jacquesさんにとって長年の夢でした。以前から広島の歴史や原子爆弾の惨劇について学んできたため、実際にその地を訪れ、広島が再建し、平和の象徴として確立してきた姿を目にし、心を強く揺さぶられました。特に、被爆者から直接証言を聞いたことが印象的で、高齢であるにもかかわらず、過去の苦しみを乗り越え、平和への揺るぎない信念を持ち続けるその姿に触発されました。広島への訪問は、Jacquesさん自身の平和と開発への使命感をさらに強めるきっかけとなりました。

学びから変革へ―UNDPと地域社会への貢献

研修コースの修了後、Jacquesさんは新たに学んだ知識を実践に移すべく、平和構築に関するプログラムの設計、実施、モニタリングに特に力を入れています。最も支援を必要とする人々に効果的な支援を届けるために、明確な指標としくみを備えた実質的な成果をもたらすプロジェクト形成を目指しています。仕事だけではなく、家庭や地域社会、そして社会全体においても平和を築くことの重要性を認識しています。真のリーダーシップは家庭から始まると考え、相手の意見にしっかり耳を傾け、周囲の人々が自信をもって自由な対話をすることができるよう心掛けています。

まずは身近なところから平和を築いていきたいです。それは家族、地域社会、そして社会全体のことです。リーダーシップは、職場だけでなく家族や地域社会においても同様に重要です。

Jacques Dembele,     

UNDPギニアビサウ事務所、
モニタリング·評価担当官(マリ)

原文は広島大学のGPADGlobal Peace and Development Career Network )ウェブサイトに掲載されています。

外務省「平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業」について

麻生太郎外務大臣(当時)の政策演説「平和構築者の『寺子屋』を作ります」を受け、2007年から外務省が平和構築分野の人材育成事業を実施。2015年度からは、国際機関での人材の発掘·育成·キャリア構築を包括的に実施するため事業内容を刷新·拡大し、「平和構築·開発におけるグローバル人材育成事業」を開始(いずれも広島平和構築人材育成センター受託)。2024年度から広島大学が外務省より本事業の委託を受け、国連ユニタールおよび国連ボランティア計画と連携して実施しています。

広島大学について

広島大学は、人類史上初めて原子爆弾が投下された被爆地広島に1949年に創設された国立の総合研究大学です。広島大学は、国立大学としての使命を果たすため、活動の基本原則として広島大学憲章を次の通り定めています、それは、一人ひとりの人権と人格を尊重し、自由で平和な持続的発展を可能とする社会の実現に貢献する人材を育成し、社会に開かれた大学、社会から信頼される大学として地域社会及び国際社会に貢献することです。さらに地球規模の課題に対する先端的な解決策を世界に先駆けて実践していきます。これにより広島大学の使命である、多様性を育む自由で平和な国際社会の実現に貢献する「平和を希求しチャレンジする国際的教養人」を育成することを目指します。

国連ユニタールについて

国連訓練調査研究所(ユニタール)は、研修事業に特化した国連機関です。2024年には、世界中で55万人以上が受講し、より良い未来の実現のために世界各国の人材育成を支えています。ジュネーブ本部のほか、広島、ニューヨーク、ボンに事務所を構え、世界中にネットワークを持っています。詳しくは国連訓練調査研究所(ユニタール)広島事務所をご覧ください。

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